ポイントサービスは、顧客が商品・サービスをどのくらい利用しているかの分析への活用や、顧客の満足度アップにもつながる販促のひとつです。値引きサービスとの違いや具体的なメリット・デメリットなどを理解しながら活用すれば、ポイントサービスは顧客満足度の向上や客単価のアップにもつながる見込みもあります。今回は、ポイントサービス導入について、値引きとの違いも含めながら紹介していきます。

販促の目的とは?

そもそも、販促を行うことにはどのような目的があるのでしょうか。販促とは販売促進という文字どおり、自店が扱う商品・サービスについて消費者が「買いたい、使ってみたい」「もっと知りたい」という意識づけにつなげたり、購入や利用へと促したりする行為のことを指します。商品・サービスの認知度と購買率の向上、さらに消費者のリピート率アップが販促の主な目的です。そのため、商品・サービスのターゲット層と消費者のニーズがマッチするようなマーケティング力や、消費者をリピーターへと導く提案力も重要となります。

ポイントサービスには2種類ある

消費者をリピーターにするためには、商品・サービスを何度も利用したり継続的に購入したりすることのメリットを伝えることが必要です。そのために効果的な販促手段の1つがポイントサービスです。

ポイントサービスは、商品・サービスを購入・利用することでポイントを付与し、たまったポイント数によって特典や割引などのサービスを行うという売上戦略のひとつです。消費者との継続的なつながりを持ち、商品・サービスの購入・利用の機会を増やすための施策になります。

ポイントサービスは主に、ポイントカード型のものとスマートフォンを利用したものがあります。現代のようにスマートフォンが普及する前は、氏名や住所などを明記した紙のポイントカードに商品・サービスの購入・利用ごとにスタンプを押してポイントを貯めるという方法が主なポイントカードの方法でした。今ではスマートフォンを持ち歩く人も多いことから、アプリなどを用いてポイントサービスを行っている店舗も増えています。

ポイントサービス導入のメリットとは?

自店でポイントサービスを導入するメリットは何か事前に把握しておきましょう。ここでは、ポイントサービス導入のメリットを主に4つ紹介します。

ポイントサービス導入のメリットとは?
  1. ポイントを貯めることで顧客が満足感を得やすい
  2. 競合店と差別化できる
  3. 顧客情報を得られる
  4. 客単価を上げられる

1.ポイントを貯めることで顧客が満足感を得やすい

ポイントサービスは、顧客自身がリピーターとして商品・サービスを利用することへの満足度を目に見えて把握できる、非常に有効な手段です。ポイントが貯まることで顧客は満足感を得られるだけでなく、ポイントを活用してお得に利用できるというメリットにもつながります。

また、店舗側としても、商品・サービスの値引きを頻繁に行うことで商品イメージが低下するのを回避しつつ、値引きの代わりにポイントサービスで顧客に満足度を与えられるというメリットがあります。

2.競合店と差別化できる

自店の商品・サービスの競合が存在する場合、差別化を図ることで顧客を他店から引き抜くことも必要になります。その際、商品・サービスの値下げで差別化を行おうとすると、一度下げてしまった価格から元に戻すのはなかなか難しいものです。商品・サービスのイメージダウンにつながるだけでなく、価格を元に戻すことで顧客が離れてしまうということも考えられます。

一方で、価格の変動に関わらず競合店との差別化を図ることができるのがポイントサービスです。定期的にポイント付与の倍率を上げるなどで差別化を図ることができ、しかも商品・サービスの価格に影響が出ないため、価格変更によるイメージの低下も回避することができます。

3.顧客情報を得られる

ポイントカードが紙の場合もスマートフォンアプリの場合も、新規登録する際には顧客の住所や氏名といった個人情報を明記する場合があります。そこで得られた個人情報を顧客情報として管理しておけば、DMやメールマガジンなどを通じてキャンペーン情報の発信などにも活用できます。DMやメールマガジンも顧客とのコミュニケーションを図り、継続的な利用を促すには重要です。ただし、個人情報は大切な資産であり秘密情報ですので、厳重な管理は忘れてはなりません。

4.客単価を上げられる

スーパーマーケットやドラッグストアなどでよく見られる「ポイント10倍デー」などのポイント付与特典があると、「この日のうちに多く購入しなければ」という顧客意識が芽生えるため、客単価を上げるには大変有効といえます。また、「5,000円以上購入の場合」というような条件を加えると、あと数百円で条件達成できるというときには追加の購買意欲を高めることが期待できます。

ポイントサービス導入のデメリットとは?

これまで紹介したなかではポイントサービス導入はメリットしかないように感じますが、導入を検討する際にはデメリットもしっかりと把握しておきましょう。

特に紙のポイントカードを導入した場合、顧客に破棄されてしまう可能性もゼロではありません。ポイントカードはお得な印象があるため、利用頻度に関わらず気軽に登録してしまう顧客も少なくありません。そのため、いつの間にか財布の中がポイントカードでいっぱいになり、利用頻度が少ないものについては破棄してしまう、といったことも考えられます。

また、別のデメリットとしては、新たにポイントサービスを導入した場合、それまでなかった作業が従業員に対して発生してしまい、オペレーションを再調整する必要が出てきます。さらに、そのポイントサービスが他社との共通のサービスである場合、自店で貯めたポイント数まで他店でまとめて利用されてしまう可能性もあることも頭に入れておきましょう。

ポイント還元と値引きとの違い

すでに他の値引きサービスを行っている場合で新たにポイントサービスを導入しようと検討する場合は、従来の値引きサービスとポイントサービスのどちらが自店にとって得であるかを理解する必要があります。

例えば、「10%割引サービス」と「10%ポイント還元」との違いを例にしてみましょう。1,000円を10%割引サービスした場合は支払いは900円、一方で1,000円の10%ポイント還元の場合は1,100円を1,000円で購入できることになり、1000/1100で割引率は9.09%です。どちらがより高い割引率で顧客にサービスできるかを考えると、割引サービスのほうに軍配があがるため、導入を検討する場合には、どのように使い分けるかを考えておきましょう。

ポイントカードを利用した販促の導入例

ポイントサービスを導入する場合、具体的にどのような方法がより高い効果を期待できるのでしょうか。最後に導入例として、飲食店と美容院におけるポイントサービスの販促事例を紹介します。

飲食店

飲食店でのポイントサービスでは、ポイントが貯まったらドリンク一杯サービス、デザートサービスといったお得感をプラスすることが主になります。また、アルコールを提供する飲食店のように来店頻度が毎日ではないような業態の場合、ポイントがすべて埋まるまでに時間がかかることで飽きられてしまう可能性もあるため、たとえば紙のポイントカードなら一列埋まることにドリンク一杯サービスとするなど、少しずつサービスを付与することで、途中で破棄されることなく継続してもらえる可能性も見込めます。

また、女子会向けなどのグループに特化したサービスを展開している場合には、女子会専用のポイントカードをわけて作成して、ターゲットを明確にするのもおすすめです。

美容院

美容院でポイントサービスではなく値引きサービスを用いた場合、スタッフの技術料に影響して売上が下がってしまうことが考えられます。そのため、貯まったポイントに応じてトリートメントサービスやヘッドスパサービスといった特典をつけることが主体となります。

また、美容院に行く頻度が平均で2カ月〜3カ月であることを考えると、飲食店と同様にポイントがなかなか貯まらずにポイントカードを破棄されないような対策も重要です。心理的な対策ではありますが、ポイントカードのポイントをつける枠の数を少なくすることで、数が少なくてもポイントが埋まっている満足感を得ることができるようにするなどの対策も考えられます。

まとめ

今回は、ポイントサービスでの販促効果について、メリット・デメリットや値引きサービスとの違いを紹介しました。ポイントサービスは、顧客が商品・サービスをどのくらい利用しているかということが明確になるため、顧客の満足度アップにもつながります。顧客が新規登録する際に得られる顧客情報は、DMやメールマガジンにも活用でき、顧客との継続的なコミュニケーションを図ることにもつながります。

ただし、実施する方法や内容次第では、ポイントサービスよりも割引サービスのほうが割引率や顧客にとってのお得感が高いということもあるため、新たにポイントサービスを導入する際には、どのようなメリットや利益を得られるかを把握したうえで導入するとよいでしょう。

ポイントサービスは顧客との接点をつなぎ、競合店との差別化を図るためにも有効なサービスなので、自店での必要性を分析しつつ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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