消費者に自社の商品・サービスに興味・関心を持ってもらい、購入へと促す一連の活動に販売促進活動というものがあります。しかし実際には、どのような活動のことを販売促進と呼び、どのような種類があり、どのような方法を用いることでより高い効果を得られるのか、具体的にすべてを把握するのは難しいものです。そこで今回は、販売促進の具体的な意味や種類、具体例について紹介します。
目次
販売促進とは
「販売促進」とは、消費者の購買意欲を促し、商品・サービスの購入へとつなげるための一連の活動のことを指します。具体的には、サンプリング配布などの店頭でのキャンペーンや、クーポンや割引といった特典、POPの掲示など、消費者が商品・サービスを購入するきっかけを提供する活動です。
似た言葉として「営業」「マーケティング」といったものがありますが、営業とは消費者側である顧客が最終的に購買することを決める後押しをする役割を指し、マーケティングとは販売促進を含め、自社が利益をあげるための一連の活動全体のことを指します。
販促とプロモーションの違いについては、下記のページもあわせてお読みください。
https://www.i-nobori.com/media/5160
販売促進の目的と効果
販売促進を行う目的とは、商品・サービスの購入によって売上を確保する以外にも、新規顧客獲得や既存顧客維持などがあります。
さまざまな商品・サービスが登場し、消費者にとって選択肢が豊富になったことと、SNSの普及により消費者が情報収集することが容易になったことで、消費者のものを見る目が厳しくなっています。そのため、競合他社との差別化を図り、自社の商品・サービスの購入に結びつけるには、常に目新しさのある販売促進活動を行い、消費者の注目を集め、購買意欲へと促す必要があるのです。
流通のデジタル化によって、競合他社の新商品が大量に迅速に市場に出回り、消費者の手元に届けられることにもスピーディーさが求められるようになり、従来の販売促進活動だけでは効果が得られにくくなっていることも、目新しさが必要となる理由にもつながっています。
販売促進方法の種類
販売促進活動の方法には、「オンライン」で行う方法と、「オフライン」で行う方法の2つがあげられます。2つの違いは、インターネット(オンライン)上で行うか、インターネット以外での方法で活動を行うかということにあります。
どちらの方法が向いているかを検討する際には、自社の商品・サービスについて売り上げ増を目指したいのか、認知度を向上させたいのか、もしくはリピーターを増やしたいのかといった目的を明確にすると具体的な方法が把握できます。
オンラインの販売促進方法
オンラインで行う販売促進方法にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは具体的に3つの方法を紹介します。
- SNSで情報を発信する
- ネット広告を出す
- アプリやメールを活用する
SNSで情報を発信する
InstagramやX(旧Twitter)といったSNSを媒体とした情報発信は、幅広いユーザーに対してスピーディーに伝達できるという特徴があります。SNSは迅速性や拡散性が高いことから、タイムリーな情報やより多数のユーザーに知らせたいキャンペーン告知などに効果が期待できます。自社アカウントを作成することで発信が可能となるため、紙媒体やチラシなどの広告料を必要とする媒体よりも低予算で進められます。
ただし、拡散性や匿名性といった特徴のあるSNSでは、内容によって炎上のリスクもゼロではないことは留意しておく必要があります。
ネット広告を出す
ここでのネット広告とは、Yahoo!やGoogleといった検索エンジンの広告枠に掲載することを指します。ユーザーが検索エンジンを利用する際に入力した検索キーワードに合致した場合に広告表示を行うという流れのため、自社の商品・サービスに適したユーザーを絞り込んで抽出することが可能です。
検索エンジンを利用した広告(リスティング広告)の詳細については下記の記事もご参考ください。
https://www.i-nobori.com/media/2535
アプリやメールを活用する
自社アプリの活用やメールマガジンの配信もオンラインでの販売促進に含まれます。
アプリの場合はニュース配信やプッシュ通知での情報配信以外にも、ポイントカード機能や予約機能、顧客管理や分析ができる機能などさまざまな機能を持つアプリが登場しています。
また、メールマガジンの場合は商品・サービスの最新情報を定期的に配信することで既存顧客との接点を保つことができ、開封率やクリック率といった効果測定によって今後の販売促進の分析にもつながります。紙で行うダイレクトメールと異なり、配送料や紙のコストなどがかからないのも利点といえるでしょう。
いずれの場合もまずは顧客に登録してもらう必要があるものの、自社媒体であることから自由度が高く、より詳細な情報を提供できるというのも大きな利点です。
オフラインの販売促進方法
ここでは、インターネットを用いずに行うオフラインでの販売促進方法について紹介します。
- ポスティングを行う
- 看板や旗を設置する
- イベントを企画する
ポスティングを行う
ポスティングとは、チラシやハガキなどの紙媒体を各家庭のポストに直接投函する活動方法です。特定の地域だけに投函することができるため、新店舗オープンの告知やスタッフ募集など、限定的な情報を配布することに多く用いられています。チラシの配布枚数を前もって把握できるため、制作費用や人件費を抑えることができ、低予算で行える集客方法といえます。
集客を高めるポスティングについて詳しくは、下記の記事をあわせてご参考ください。
https://www.i-nobori.com/media/2567
看板や旗を設置する
実店舗を持つ場合には、店舗前に看板や旗を設置することも有効的な販売促進活動のひとつになります。通りすがりの人に対して店舗の存在を知らせたり、キャンペーンやイベントを訴求したりすることができるため、通行量が多い通りであるほど効果的となり、認知度向上だけでなく新規顧客獲得も見込めます。
看板や旗の場合は、設置場所やそれぞれの仕様によって金額は大きく異なり、競合店が多い場所であれば差別化を図る工夫も必要となってくるため、目的を明確にして設置を検討する必要があります。
イベントを企画する
新商品・新サービスの発表会や展示会、販売会などのイベントの実施も販売促進活動にあたります。イベントには既存顧客だけでなく、商品・サービスに一定の関心を持つ潜在顧客や見込み顧客も訪れるため、物理的な体験価値を提供したり、直接コミュニケーションを図ったりすることで新規顧客獲得や認知度向上に大きな効果を期待することができます。
デメリットとしては、イベントの規模によって展示スペースの設置や配布物の準備が必要となるほか、運営に必要な人員に対するコスト面も配慮しなければならないことがあげられます。
販促を行う前に気をつけるポイント
販売促進を計画する際に、事前に把握しておくべきことには何があるのでしょうか。ここでは、販売促進活動を行うにあたって気をつけるべきポイントを紹介します。
- 消費者の判断基準を調べる
- 自社のターゲットに合ったツールを活用する
- 流通の工程を理解する
消費者の判断基準を調べる
販売促進を計画する際に、第一に考える必要があるのは顧客についてです。オンライン・オフラインいずれの販売促進方法を行うにあたっても、目的は顧客に商品・サービスを購入してもらうことであるため、どのようにすれば自社の商品・サービスについて興味を持ってもらえるかというアイデアを考える必要があります。
また、販売促進であげられるキーワードとして「4C」と「4P」というものがあります。4Cとは、顧客視点で考える戦略のことで下記の4つを指します
- 「Customer Value(顧客価値)」
- 「Customer Cost(コスト)」
- 「Convenience(利便性)」
- 「Communication(コミュニケーション)」
一方4Pは、企業視点での考え方であり下記の4つを指します。
- 「Product(製品・サービス)」
- 「Price(価格)」
- 「Place(流通)」
- 「Promotion(プロモーション)」
以前は販売促進の戦略を練る際には企業視点で考えられていたものが、現在は顧客視点での発想が重要視され、企業視点の考え方が顧客視点での考え方に置き換えられるようになりました。販売促進の戦略を練る際の重要な要素といえるでしょう。
自社のターゲットに合ったツールを活用する
ここまで紹介してきた販売促進の方法は、業種・業態だけでなく自社の商品・サービスやターゲットとする顧客によって効果の大きさは異なります。また、どの程度の予算をあてられるかによっても選択肢の幅には差が生じます。
自社の商品・サービスのターゲットの年代や地域、趣味・嗜好を具体化することで、潜在顧客にアプローチしやすいツールや媒体、手法がより明確になります。コストをあまりかけられないという場合には、最初は無料で利用できるツールを選んだり、「紙媒体のダイレクトメールではなくメルマガにする」「より多くのユーザーにアプローチできそうなSNSを選ぶ」といった工夫を施したりするなどで、自社の商品・サービスに何がふさわしいかを見極めていくとよいでしょう。
具体的な施策やツールなどについては、下記の記事もあわせてご参考ください。
https://www.i-nobori.com/media/2447
流通の工程を理解する
商品の流通は一般的に、メーカーから卸売業者、卸売業者から小売業者、そして最終的に消費者の元に届くという流れになります。メーカーにおいては研修会を行って商品知識や営業力の向上を図ること、消費者と直接つながる機会の多い卸売業者や小売業者については、セールスコンテストなどで販売能力向上を図ることといった、流通の各工程を理解して、必要な対策を図ることが重要です。
実際に販促を行っている企業の事例
自社の商品・サービスやターゲットを分析し、適切な販売促進活動を行うことで、売り上げ向上や新規顧客獲得に高い効果を発揮している企業もあります。最後に、実際に効果を得ている販売促進活動の一例を紹介します。
顧客に体験をお届けする例
あるビールメーカーでは、新商品の販売において、新商品である食品と、その食品をよりおいしくするキットをセットにして販売することで、食品のおいしさがより伝わりやすくなりました。さらに、飲食店でそのセット販売を行うことで、飲食店での味が家庭でも再現できるという喜びもセットで体感してもらうことが可能になっています。
また、商品を購入するだけでなく、商品を実際に食べることや店舗に滞在することの楽しみをプラスした空間を再現した、ホテルと飲食店をあわせた体験型店舗も販売促進の好例です。
SNSを上手に活用している例
SNSを活用している事例として、ある大手コンビニエンスストアでは、自社の商品がテレビ番組で放映されるのにあわせてX(旧Twitter)をアップするというリアルタイムな情報発信を行い、販売促進の強化を図っています。
また、あるアパレルブランドでは、Instagramで2種類のアカウントをもっており、商品紹介とコーディネート紹介という目的別で情報を発信しています。目的別に発信することで、それぞれ多数のフォロワーを獲得することにも成功しています。
まとめ
今回は、販売促進に関する基本的な知識や具体例について紹介しました。
販売促進とは、消費者に対して自社の商品・サービスに関心を持ってもらい、購入へと促す一連の活動を指します。オンラインとオフラインで行う方法があり、商品・サービスの特徴、ターゲット層、予算などによって向き不向きがあるため、自社に適した販売促進方法を見極めることが重要です。
選択肢や情報量の多い現代において、消費者の選択眼の精度や求めるものはより高くなっています。常に最新の情報を提供し、より多くの顧客獲得につながるように、効果の高い販売促進方法を探してみてはいかがでしょうか。
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