店舗前や路上に設置する看板は、店舗の顔ともいえるものであり、伝わりやすさだけでなく見た目にも意識をしたいものです。また、通りすがりの人に対して、何の看板であるかひと目で伝わるような内容でなければなりません。どのようなデザインやレイアウトにすれば、より効果的な看板になるのでしょうか。今回は、看板レイアウトのコツやおしゃれなデザインのポイントについて解説します。

おしゃれで目を引く看板レイアウトの考え方

店舗前や路上に配置する看板は、通り過ぎる人の目を引くレイアウトでなくてはなりません。レイアウトとデザインとの言葉の違いは、デザインは目に見える文字や色、装飾などをイメージや目的といった情報にあわせて図案化するものです。一方でレイアウトとはそれらの素材を配置していく作業になります。

つまり、レイアウトとはデザインのなかのひとつといえるでしょう。その違いを意識しながら、おしゃれで目を引く看板レイアウトの考え方を4つ説明します。

おしゃれで目を引く看板レイアウトの考え方
  1. 看板を設置する目的を明確にする
  2. 伝えたいことをまとめる
  3. 効果的に伝える手段を用意する
  4. レイアウトを整える

看板レイアウトの考え方1:看板を設置する目的を明確にする

看板といっても、種類は目的によりさまざまなものがあります。まずは看板を設置したいという目的を明確にしましょう。例えば目的が認知度アップのためであれば、店舗のイメージカラーやコンセプト、店名の書体などとデザインを統一させることで、見る人にも店舗の看板であることが伝わりやすくなります。

おしゃれな看板を設置するコツについて、詳しくは下記の記事もあわせてお読みください。

看板を店舗に設置する意味とは?おしゃれな看板を設置するコツも紹介

看板レイアウトの考え方2:伝えたいことをまとめる

看板を設置する目的が決まったら、そのなかでも特に何を伝えたいかということを簡潔にまとめましょう。看板は伝えたいことがしっかり伝わること、通りすがりにひと目見ただけで伝わることが重要です。大きな看板を用意したからといってたくさんの文字量を詰め込んだのでは、通りすがる間では内容を認識しにくく、かえって注目しなくなってしまいます。誰に何を伝えて、店舗であれば何を売りたいのかを要約して、通り過ぎる瞬間でも伝わるような内容を目指しましょう。

看板レイアウトの考え方3:効果的に伝える手段を用意する

看板を注目してもらうには、文字情報も重要ですが、パッと目を引くようなデザインであることも大切です。繁華街のなかでも埋もれないような目立つ色を用いたり、飲食店であればおいしそうな食材、美容室であればきれいなヘアスタイルの画像やイラストを用いたりすることでも通りすがりの人の目に留まる期待が持てます。また、文字の大小や太さによって看板の表情がやさしい印象や力強い印象に変わることも看板をより効果的にみせる手段といえます。

看板レイアウトの考え方4:レイアウトを整える

看板のデザインの方向性が定まったら、あとは全体的な見やすさやバランスを考えてレイアウトを整えていきます。コピーの文字量、色、写真やイラストの有無などにあわせて、文字の大きさや位置などをレイアウトしていきましょう。店舗の看板にとって「視認性」と「可読性」はどちらもポイントとなります。見つけてもらうためには視認性が大事ですが、店舗の魅力を知って来店してもらうには、伝えたいことが伝わる可読性も重要です。バランスよく配置していきましょう。

おしゃれで目を引く看板レイアウトを作成するコツ

おしゃれで目を引くような看板にするには、いくつかのレイアウトのコツをおさえることが重要となります。ここではレイアウト例も紹介しながら、看板レイアウトの作成のコツを紹介します。

おしゃれで目を引く看板レイアウトを作成するコツ
  • フォント(書体)を選ぶ
  • 色を選ぶ
  • 視線誘導の法則を意識する
  • 余白をうまく使う
  • 看板の種類・材質・形を選ぶ
  • 看板の設置場所に合ったデザインを意識する
  • 看板レイアウトの例

フォント(書体)を選ぶ

統一のデザインで文字を表現する「フォント(書体)」も、看板での使い方によって印象が変わり、通りすがりの人の目を引きつける役割になります。目立つデザインにしたいのであれば、例えばゴシック体は縦線と横線の太さがほぼ同一で、「うろこ」と呼ばれる、筆文字のような文字の終わりの三角形の山がないため、遠くからでも比較的見やすい特徴を持っています。また、ハネやはらいといった筆文字のような表現がされている明朝体は、和風の印象があることから、和食店や和の印象を与えたい場合などには高い効果を期待できるでしょう。

色を選ぶ

色の使い方によって看板の印象も変わるため、デザインのなかでも色選びは重要な要素のひとつです。例えば、赤や黄色、オレンジ色などの「暖色」は、あたたかさ、親しみやすさといったやさしい印象のほかにも、活気や情熱といった力強い印象も与えます。反対に、青や青紫といった涼しさを感じる「寒色」は、清潔感や落ち着き、冷たさといった印象を与えます。店舗のコンセプトやイメージにあわせた色選びをすることが大切ですが、色の組み合わせによっては文字が見にくくなることもあるので、選び方には注意が必要です。

目立つ色の組みあわせについて詳しくは、下記の記事もあわせてお読みください。

目立つ色の組み合わせは?看板などで目を引く色の選び方を解説

視線誘導の法則を意識する

「視線誘導の法則」とは、ここでは看板を見る人の視線の流れをうまくコントロールして最も伝えたい情報へ視線を誘導させる手法のことを指します。視線誘導の主な視線パターンには「Z型」「F型」「N型」の3つがあり、例えば縦型看板であれば、Z型を用いてレイアウト上の上側の文字を大きくすることで、見る人の目線を引きつけます。そしてZ型の流れに従って視線が下へ移動するように情報をレイアウトしていくことで、見る人もストレスなく目線を流すことができ、店舗側も伝えたい情報を目的通りに伝えることができます。

余白をうまく使う

「余白」とは、レイアウトの余りや、印刷時の端の部分というだけではなく、きれいな使い方によってより美しいレイアウトを実現することができます。余白を多くとってシンプルな要素でレイアウトすることで落ち着きのある洗練されたデザインとなり、反対に余白を少なくしたり余白をとらずにデザイン要素を多めにしたりすることで勢いのある賑やかなデザインとなります。また、あえて余白の線をとっていなくても、文字の線や画像の端などの要素を上下左右整列させることで、余白で囲われたようなすっきりした印象になります。

いろいろな表情に変える余白ですが、看板の場合、設置する際のフレームの枠幅を考慮せずに余白のないデザインにしてしまうと、実際にフレームにはめた際に文字が隠れてしまうことがあります。レイアウトが実際に見える領域である「見え寸」に注意してレイアウトを進めましょう。

看板の種類・材質・形を選ぶ

看板のレイアウトとともに、店舗の印象を適切に伝えるには、看板の材質や形選びがあります。例えばナチュラル感を売りとした食品のお店であれば、ぬくもりが感じられる木材を使用したり、おしゃれでクールな印象を伝えたいのであれば、ステンレスの素材を使用したりするのもよいでしょう。また、イメージにあわせて横長、縦長、丸みを帯びたものなど、形選びも吟味してみましょう。看板の主な材質には下記のようなものがあります。

看板の材質 特徴
アルミ複合板 スタンダードな材質、軽くて強い
アクリル板 白や透明、光沢がある、軽くて壊れにくい
ステンレス鋼板 高級感がある、錆びにくい
木材 ぬくもり感がある、メンテナンスが必要

看板の種類や特徴について詳しくは、下記の記事もあわせてお読みください。

目立つ看板で飲食店をアピールするコツ|看板の種類ごとの特長も紹介

看板の設置場所に合ったデザインを意識する

作ろうとしている看板をどこに設置するかによっても、看板のデザインや材質を意識する必要があります。例えば自然豊かな森林に囲まれたロケーションにあるイタリアンレストランであれば、看板には木材のものを使って、おすすめランチなどのメニューを書いた黒板を立てかけるなどすれば、ロケーションとぴったりあったナチュラルであたたかみのある印象の看板になります。また、車での来店が見込まれる店舗であれば、駐車場や店舗入り口にはひと目で見える大きな文字でシンプルにまとめたデザインが目に留まることが期待できるでしょう。いずれにしても看板を設置するロケーションにあわせたデザイン設計が重要です。

看板レイアウトの例

ここまで解説した内容を踏まえて、看板レイアウトの一例を紹介します。

まずは「余白をうまく使う」の例です。先に、余白は多くとることで落ち着きのある洗練された印象になるということを説明しましたが、落ち着きや洗練さを連想させる業種として、歯科や薬局などの医療関係やネイルサロンといった美容系があげられます。落ち着きを与えつつ、余白の中央に一番伝えたい店名や業種を記すことで、ひと目で何の看板であるかが伝わりやすくなっています。
余白を使った看板レイアウト
次に「視線誘導の法則」を用いた例です。視線誘導には「Z型」「F型」「N型」が主な視線パターンであると説明したように、以下では「Z型」「F型」を意識してレイアウトされています。上部の文字を大きくしたり目立つ色を用いたりすることで最初の目線をキャッチして「書店」「ビンテージショップ」であることを伝え、その後は「Z型」「F型」の流れに沿って最後まで目線を誘導させて、営業時間などの伝えたい情報を盛り込んでいます。
Z型の看板レイアウト
F型の看板レイアウト

看板レイアウトを考えるうえで注意点

ここまで、看板レイアウトについてのコツや材質選びなどを紹介してきましたが、レイアウトするにあたって注意しなければならない点が大きく2点あります。最後に、看板レイアウトを考えるうえでの注意点について紹介します。

文字だけで説明しようとしない

例えば飲食店の場合、おすすめメニューを文字だけで説明しようとすると、目にした人がイメージする料理と実際に提供される料理が異なってしまうかもしれません。また、大きさに変化のない文字だけでの配置ではイメージが伝わりにくく、見る側も何を伝えたいのか理解しにくくなってしまうでしょう。実際のメニューの写真を加えたり、黒板メニューなどでは絵の得意なスタッフがイラストを加えたりすることで、どのような料理かが伝わりやすくなり、手作り感のあるイラストに親しみを感じることも期待できます。

情報量を多くしすぎない

通りすがりの人が看板を目にするのは、1秒未満と言われています。1秒未満で何が目に留まるかを考えると、それほど多くの情報量を詰め込んでもすべてを読んでもらうのは難しいでしょう。人が通り過ぎるまでに最も伝えたい情報が目に入らなければ、何を伝えたい看板だったのか判断できず、かえってストレスになってしまいます。デザインを整理して情報をできるだけシンプルにまとめ、通り過ぎる人には最低限の情報だけが伝わるようにし、足を止めた人には詳しい情報まで伝わるように下部にまとめてレイアウトするなどで、誰にどの情報を伝えたいのかをまとめてレイアウトをするとよいでしょう。

まとめ

今回は、おしゃれな看板レイアウトのコツについて紹介しました。通り過ぎる人が看板を目にする時間はわずか1秒足らずです。その間に何を伝えたいか、どのような店舗であるかをイメージさせやすいかを明確化させることが看板デザインではとても重要です。お店のコンセプトやイメージ、ロケーションにあわせて材質や形状も吟味して、店舗に足を運んでもらえるような看板デザインを目指してみましょう。

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