美容室業界は競争が激しいといわれているため、長期的に売上を維持するのは簡単ではありません。そのため、事業運営を安定させるには、いかに顧客を効率的に呼び込むかが重要になります。

中には、「集客はしているけれども、思ったようにお客さんが集まらない」と悩んでいる方もいるでしょう。そこで今回は、美容室が効果的に集客するコツを説明したうえで、具体的な集客方法をオンラインとオフラインに分けて紹介します。

美容室の現状の課題について


集客を考えるうえで、まずは最初に業界の現状や課題を把握しておくことが大切です。美容室では、業界的な特徴から新規顧客の獲得が難しく、リピート率も低いとされています。それぞれ詳しく解説します。

新規顧客の獲得が難しい

美容室は、将来的に独立することを前提としている雇用の仕組みがあることから、業界的に店舗数が増えやすいことが特徴です。店舗数が増えやすいということは、それだけ競合店が多くなり、顧客の奪い合いが発生してまうということになります。

さらに、インターネットが普及しSNSやWEBサイトなどでさまざまな情報を得られる現代では、顧客にとってもより幅広い選択肢が存在することになります。価格や立地、サービスの内容から雰囲気まで自分の求める条件に近い店舗を探せる現状があるため、美容室としては少しでも競合に劣る部分があれば新規獲得を逃してしまう可能性があるのです。

リピート率が低い

美容室では、新規顧客のリピート率が低いとされています。リピート率はどのような期間で計算するかなどによって結果も異なるため決まった数字で表すのは難しいですが、参考としてリピート率30%前後となっています。よって、約7割の人が2回目以降の利用をしないということになります。

店舗のコンセプトやターゲット、スタッフの技術や接客など、リピート率を下げる要因は多々ありますが、主に以下のような状況が考えられます。

  • 顧客が求めていたニーズを満たせなかった
  • ターゲットと利用者層にずれがあった
  • 価格以上の価値がないと思われてしまった
  • スタッフの技術や接客のレベルが足りていなかった

そのため、一度訪れた顧客が期待していた通りかそれ以上の体験を得ることができ、「次も利用したい」「お気に入りの店が見つかった」と思えるような店舗づくりや施策の実施が大切になります。

参考:美容師の平均リピート率と正しい出し方・失客率との違いは? | 美容室の顧客管理ならLiME(ライム)

美容室におすすめの新規顧客の集客方法


美容室の課題である新規顧客の獲得には、店舗の立地や状況などにあわせて適切な集客方法を取り入れることが大切です。集客方法には、大きく分けてオフラインの集客方法とオンラインの集客方法があります。それぞれ紹介していきます。

オフラインでの美容室集客方法

まずはオフラインの集客方法を4つ紹介します。どの方法も、美容室に限らずさまざまな店舗ビジネスで活用されていますが、デザインの見せ方や特典の条件などを工夫すれば美容室ならではの集客施策を行うことができるでしょう。

看板・旗を設置する

看板や旗の設置は、美容室の集客方法として代表的な手法です。ぱっと見たときのデザインが印象的であるほど通行人に興味を持ってもらいやすくなるため、店舗のイメージが伝わるとともにインパクトを与えられるデザインを心がけましょう。

さらに、看板・旗に興味を持ってもらえると、同時に店舗の中も見てもらえる可能性が高まります。店内の雰囲気やスタッフの様子、施術を受ける顧客の様子をチェックできれば来店のハードルを下げることにもつながるでしょう。

チラシを配布する

チラシは、美容室の情報を紙媒体で顧客に配布する方法です。駅前などで直接配布する方法もあれば、新聞などに折り込んで各家庭に配布する方法もあります。地域に密着したアピール方法なので、美容室周辺のエリアに限定して集客できるのがメリットです。

ただし、チラシを配布すればすぐに集客できるわけではないので注意が必要です。一般的にはチラシを1000枚配布したら3人程度の反応があればよいと言われています。

期間限定割引の情報や顧客の口コミ、店内の様子がわかる画像や来場特典などを掲載しておくと、反応率を高めやすくなるでしょう。

紹介による集客を増やす

紹介による集客は、美容室を利用したことのある既存顧客から、家族や友人に向けて来店を促してもらう方法です。顧客が自発的に店舗の情報を広めてくれるので、広告宣伝費を抑えることができます。

紹介数を増やすためには、「紹介者割引キャンペーン」のように、新規顧客を紹介してくれたら、紹介者と新規顧客の両方が特典を受けられる仕組みを設けるのもよいでしょう。ある程度戦略的に新規顧客を呼び込めるので、効果を感じやすい手法だといえます。

ただし、設定する特典によっては店舗に残る利益が少なくなるので注意が必要です。特典を受けられる期間に制限を設けるなど、店舗の状況に応じて条件を定めておきましょう。

ポイントカードを発行する

オフラインの集客方法の中でも、ポイントカードの発行は既存顧客の獲得に効果的な手法です。必要以上に値下げをしなくても継続的に店舗を利用してもらえるので、コストパフォーマンスのよい集客ができます。

具体例として、貯まったポイントに応じて「割引」や「プレゼント」といった特典を設けることが挙げられます。ポイントが貯まるほど大きなメリットを受けられるようにしておけば、再来店してもらいやすくなるでしょう。

また、最近は、紙媒体のポイントカードだけでなくアプリでポイントカードを発行できるようにもなっています。持ち運びの手間や紛失のリスクを抑えられるので、必要に応じて利用を検討しましょう。

オンラインの美容室集客方法

先にも述べたように、SNSやインターネット上でさまざまな情報を得られる現代では、オフラインの集客方法だけでなく、オンラインの集客方法も活用することでさらに顧客を呼び込みやすくなります。美容室で実施できるオンラインの集客方法として、5つを紹介します。

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録する

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)は、Googleが無料で提供するビジネス支援ツールです。Googleマップ上で美容室の情報をアピールできるので、近場で美容室を探している人を集客するのにぴったりの手法です。

また、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)には口コミ投稿機能があるのも特長です。実際に美容室を利用した顧客がどのような感想を持ったのか把握したうえで利用を判断できるので、よい口コミがたくさん掲載されているほど集客効果を高められます。

ただし、エリアによっては美容室が多いため、ほかの店舗に情報が埋もれてしまうかもしれません。店舗情報を優先的に表示させるための具体的な手法は明らかにされていませんが、コンテンツやレビューを充実させることが重要だともいわれているので、競合を調査したうえでユーザーが求めている情報を網羅的に掲載しておきましょう。

美容室掲載サイトに掲載する

美容室掲載サイトでは、1つのWEBサイト内に多数の美容室情報が掲載されているのが特長です。エリアや営業時間など条件を絞って店舗を検索できるので、ユーザーにとっては利用する店舗を見つけやすいのが魅力です。好みの美容室をブックマークしたり、店舗情報のページから予約ができたりするので、美容室掲載サイトを利用して店舗に足を運ぶ人も多いでしょう。

美容室掲載サイトも、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)と同様に多数の美容室が情報を掲載しているため、いかにユーザーが魅力に感じる内容を載せるかということが大切です。営業時間やアクセス情報といった基本的な情報はもちろんですが、掲載されている画像を見て美容室を決めるユーザーも多いため、プロのカメラマンやモデルを活用するのもおすすめです。

また、ある程度の費用はかかりますが、オプションを利用して自店の情報をサイト内の目立つ場所に表示させることもできます。

インターネット広告を利用する

インターネット広告には、検索連動型広告(Googleなどの検索エンジン上でユーザーが検索したワードに応じて表示される広告)やSNS広告など、さまざまな種類があります。ターゲットとするユーザーに焦点を当てて店舗の情報を届けられるため、ほかの集客方法よりも店舗の認知度を高められるのがメリットです。

また、「1クリック数十円」など、ユーザーが広告をクリックした回数に応じて広告費が決まるものもあるため、予算が限られていても、広告によっては店舗の情報をしっかりアピールできます。

ただし、広告を表示させるキーワードによっては費用が高くなったり、広告がクリックされた後のWEBページを作成しなければならなかったりするので注意が必要です。

特に、ホームページを開設していない美容室では、ホームページの制作費用やサーバーの利用料金も必要になる点は覚えておきましょう。

SNSを活用する

スマートフォンが普及した現代は、SNSを利用することで個人や企業が気軽に情報発信できるようになっています。SNSにも、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などがあり、どれも無料でアカウントを開設できるので、費用を気にすることなく簡単に美容室の情報を発信することが可能です。

実名登録制のFacebookは、家族や知人といったリアルなつながりを持ちやすいため、口コミの信頼性が高いだけでなく紹介客を増やしやすいといったメリットがあります。また、Instagramは画像に特化したSNSであるため、美容室のコンセプトを視覚的に伝えやすいのがよいところです。そしてX(旧Twitter)は、情報の拡散力が高いため、幅広いユーザーに美容室の情報を知ってもらえるという特長があります。

このように、SNSごとにユーザー層や拡散力などが異なるため、店舗の目的に応じて適切なサービスを選べるようにしておきましょう。

ブログで店舗の情報を発信する

ブログは、店舗のホームページ内に掲載する文章がメインのコンテンツです。美容室の場合、ブログ内に画像や動画を埋め込めば、より店舗の魅力を感じてもらいやすくなります。

また、SNSでは掲載しきれなかった情報を掲載したり、予約ページにつなげたりすることができるので、ファンや集客数を増やしやすいのもブログのメリットです。ある程度コンテンツを充実させておけば、継続的に更新しなくても長期的な集客ができるようになるので、将来を見据えた運用をすることが大切です。

一方、美容室に関連したコンテンツでなければ集客につなげにくくなるのが、ブログのデメリットです。検索エンジンで上位表示させるためには、文章にキーワードを盛り込んだり、見出しや文章の構成を工夫したりする必要があるので、上位に掲載されるまでに時間がかかる場合があります。

美容室におすすめのリピート顧客の集客方法


冒頭で述べたように、美容室では顧客のリピート率が低いとされているため、一度獲得した顧客に次回以降も利用してもらえるように工夫する必要があります。ここでは、リピート顧客を獲得するための集客方法を紹介します。

次回来店時の割引クーポン

次回来店時に特典があれば、次も利用してもらいやすくなります。たとえば、次回分の予約をその場で行った顧客に割引を実施したり、退店時に割引クーポンを配布したりと、方法はさまざまです。1度利用した顧客が次に美容室を利用するタイミングになり競合と比較している場合でも、「継続利用だからこそのメリットがある」と感じてもらえるような特典の内容や割引を考えましょう。

他にも、スタンプカードを発行して来店回数に応じた特典をつけたり、誕生日など顧客に合わせたタイミングでの割引を行ったりするのもよいでしょう。

また、新規客向け施策で紹介した友達紹介キャンペーンも、紹介する側になってもらうことで特典を付与すれば、リピート施策としても活用できます。

来店後のメッセージ

一度来店された顧客にメッセージを送ることも重要な施策の1つです。来店後にお礼のメッセージを送ることはもちろん、お店の存在を覚えていてもらえるようにこまめに接点を作ることを意識しましょう。

ただし、あまり頻繁にメッセージを送ってしまうと返って迷惑だと思われてしまう可能性もあり逆効果になります。顧客の利用履歴や最後に来店した時期などから、送る内容やタイミングに問題が無いかを見極めましょう。

また、メッセージを送る方法はメールやアプリなどさまざまありますが、顧客に届きやすい手段を選ぶことが大切です。場合によっては手書きのメッセージを送るのも効果的です。

美容室が効果的に集客するコツとは?

美容室にうまく顧客を集めるためには、次の3つのコツを知っておくことが大切です。

これらのコツを意識しておけば、より多くの顧客に利用してもらえるようになるでしょう。以下では、美容室が効果的に集客するコツについて詳しく説明します。

美容室を利用する顧客のニーズを知っておく

美容室に顧客を集めるためには、そもそも顧客がどのようなニーズを持っているかを把握しておかなければなりません。美容室に足を運ぶ顧客のニーズとして、主に3つが挙げられます。

  • 自分にあった髪型にしてもらいたい
  • 癒しの時間を過ごしたい
  • 髪についての悩みを解消させたい

このようなニーズに対して自店のどのような強みを活かせるか、どうすれば顧客に満足してもらえるかを考えることで、顧客に選ばれる美容室へと成長することができます。ほかにも、顧客が抱えている個別の悩みに対して適切な提案や施術ができるようにしておけば、さらに集客数を伸ばせるでしょう。

顧客に提供できる価値を明確にしておく

顧客に提供できる価値を明確にしておけば、「この美容室なら自分のニーズを満たしてくれるだろう」と判断してもらいやすくなります。

たとえば、「肌が弱い人でもおしゃれなカラーができる」ことや「頭の形や顔の系統にあった髪型を提案できる」こと、「髪質ごとに個別アプローチができる」といったことが挙げられます。また、施術サービスそのものの価値だけではなく「個室が用意されている」など、空間やさまざまな体験においても提供できる価値があれば、より顧客に興味を持ってもらいやすくなるでしょう。

このように、自分の美容室ならではのサービスを明確にしておけば、他店との差別化を図りやすくなるとともに、ターゲットの興味を惹いて集客数アップにもつなげられると考えられます。

価格を下げるだけでは長期的な経営は難しい

美容室を選ぶ際に重視されるポイントとして、価格があります。

もちろん、値段を安くすれば「美容室で支払う金額を安く抑えたい」という顧客のニーズに応えられるため、ある程度集客数を増やせるでしょう。しかし、安易に値下げしてしまうと、それだけ多くの顧客を呼び込まなければ店舗に残る利益が少なくなってしまいます。

より多くの顧客を呼び込むために広告宣伝費を多くかけると、美容室経営がさらに厳しくなるかもしれません。また、将来的に値上げを余儀なくされると、価格の上昇によって顧客離れが進んでしまう可能性も高まります。

そのため、先ほど紹介した顧客ニーズを把握し、店舗づくりやサービスに反映することで、価格に見合う価値があると感じてもらう必要があります。

まとめ

ここでは、美容室が集客数を増やすコツや、オフライン・オンラインの集客方法について説明しました。

集客方法ごとに得られる成果は異なるので、複数の手法を試しながら店舗にあったものを選べるようにしておきましょう。

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